競馬で勝ちたい。そう思って馬券を買っても、なかなか思うように結果が出ない。そんな経験、誰にでもあるのではないでしょうか。実は、予想力よりも結果を左右するのが「馬券の買い方」です。
どんなに正確に本命馬を見抜いても、買い方を間違えると回収率は上がりません。逆に、買い方さえ上手くなれば、的中率が多少低くてもトータルでプラスにできることもあります。
本記事では、初心者から中級者までが実践できる「馬券の上手な買い方」を、理論と実例を交えてわかりやすく解説します。
単勝・複勝の基本から、馬連・三連複といった応用的な戦略、さらにはレース選びや資金配分のコツまで、なぜその方法が有効なのかを論理的に掘り下げていきます。感覚ではなくロジックで馬券を買う。その第一歩を、この記事から始めましょう。
競馬で勝つための根幹理論!オッズと期待値の重要性

競馬で長期的に勝ち続けるためには、単なる予想力だけでなく、「オッズ」と「期待値」という二つの概念を深く理解することが不可欠です。
この二つを無視して馬券を購入することは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものであり、最終的に資金を失う可能性が非常に高くなります。
ここでは、勝てる馬券購入術の基礎となる、オッズ理論と期待値の考え方について論理的に解説します。
オッズの歪みにこそ存在する利益の源泉を狙うのが上手な買い方
競馬のオッズは、各馬券の売上に応じて変動する、いわば「馬の人気投票」の結果です。
多くのファンが「この馬が勝つだろう」と予測し、その馬の馬券を大量に購入すればオッズは下がり、逆にあまり注目されていない馬のオッズは高くなります。
重要なのは、このオッズが必ずしもその馬の真の実力や勝つ確率を正確に反映しているわけではない、という点です。
ファンの中には、好きな騎手だから、名前が面白いからといった理由で馬券を買う人もいれば、新聞の印だけを鵜呑みにして買う人もいます。
このような様々な思惑が入り混じることで、本来の実力以上に人気を集める「過剰人気」の馬や、実力があるにも関わらず見過ごされている「過小評価」の馬が必ず生まれます。
この、ファンが作り出した「オッズの歪み」こそが、我々が利益を得るための最大のチャンスとなるのです。
馬券で勝ち続けている人は、必ずレースのオッズを確認し、自分の予想とそのオッズを比較して「妙味があるか(買う価値があるか)」を判断しています。
逆に、オッズを一切気にせず、自分の予想だけで馬券を買ってしまう人は、知らず知らずのうちに期待値の低い馬券ばかりを選んでしまい、結果的に負け組になりやすいのです。
期待値100%超えが長期的なプラス収支の条件
期待値とは、「その馬券を買い続けた場合に、100円あたり平均していくらの払い戻しが見込めるか」を示す数値です。
計算式は「的中率 × オッズ」で表され、この数値が100円(100%)を超える馬券を買い続けることができれば、理論上、長期的には収支がプラスになります。
競馬は、売上総額からJRAや地方競馬の取り分(控除率)が引かれ、残った金額を的中者で分け合う「パリミュチュエル方式」を採用しています。
そのため、参加者全員がプラス収支になることは構造上あり得ません。
勝者になるためには、他の参加者が見抜けなかった「期待値の高い馬券」、つまり「オッズがポジティブに間違っている馬券」を見つけ出す必要があります。
例えば、単勝オッズ10.0倍の馬がいるとします。
このオッズは、ファンが「この馬の勝率は10%程度だろう」と評価していることを意味します。
しかし、あなたが独自の分析によって「いや、この馬の勝率は本当は15%以上ある」と判断できた場合、その馬券の期待値は「勝率15% × オッズ10.0倍 = 150円」となり、100円を大きく超える「買うべき馬券」となります。
逆に、単勝オッズ1.5倍の圧倒的な1番人気馬がいたとしても、その馬の勝率が本当に67%(100 ÷ 1.5)以上あるのかを冷静に考える必要があります。
もし勝率が50%程度しかないと判断すれば、期待値は「勝率50% × オッズ1.5倍 = 75円」となり、これは長期的に見れば損をする「買ってはいけない馬券」なのです。
期待値を正確に計算することはプロでも困難ですが、「このオッズは、この馬の実力に見合っているか?」と常に自問自答する癖をつけることが、馬券上手への第一歩と言えるでしょう。
回収率を上げる!競馬が上手な人はレースを選別している

競馬で利益を上げるためには、予想の精度と同じくらい「どのレースに参加するか」という選択が重要になります。
開催される全てのレースに手を出すのは、資金を無駄に減らすだけの愚策です。
プロの馬券師ほど、勝負するレースを厳選し、自信のないレースは「見(ケン)」する勇気を持っています。
ここでは、回収率を高めるための戦略的なレース選びのポイントを解説します。
得意な条件に絞り、自信のないレースは見送る勇気
勝負レースを見極めるための基本的な考え方は、「自分の得意な条件や分析が活かせるレースに絞り、根拠の薄いレースは避ける」ことです。
例えば、出走馬の過去のレース映像を全てチェックできる時間があるなら、情報量の多い中央競馬の重賞レースは予想精度を上げやすいでしょう。
逆に、デビューしたばかりで比較データが極端に少ない新馬戦や、出走メンバーの力関係が分かりにくい未勝利戦などは、波乱の要素が大きく、無理に勝負する必要はありません。
自分の得意なパターンを見つけることも重要です。
過去の的中実績を振り返り、「東京競馬場の芝1600m戦が得意」「ダートの短距離戦はよく当たる」といった自分の強みを見つけ、その条件に合致するレースに資金を集中させるのが賢明です。
情報が不足していたり、どの馬を軸にすれば良いか決めかねるような難解なレースは、思い切って見送る決断力が、長期的な収支を安定させる鍵となります。
過剰人気馬がいるレースの賢い立ち回り方
単勝オッズが1倍台の圧倒的な1番人気馬が存在するレースは、特に慎重な判断が求められます。
その馬が勝つ確率は高いかもしれませんが、配当的な妙味はほとんどありません。
実際に、中央競馬における単勝1番人気の勝率は約30%程度であり、10回に7回は負けるという事実を忘れてはなりません。
どんなに強いと言われる馬でも、展開のアヤや不利、当日のコンディション次第で簡単に負けるのが競馬です。
オッズ1.2倍の馬に大金を投じるのは、リスクに対してリターンが全く見合わないハイリスク・ローリターンな行為と言えます。
このようなレースでは、二つの戦略が考えられます。
一つは、そのレース自体を「見」すること。
もう一つは、その圧倒的な1番人気馬が負ける展開を予測し、他の馬から馬券を買うことです。
人気馬が飛んだ場合のレースは高配当になりやすいため、明確な根拠を持って穴馬を狙えるのであれば、それは絶好の「勝負レース」となり得ます。
人気が割れていたり、実力が拮抗している混戦模様のレースも、高配当のチャンスが眠っています。
ただし、やみくもに人気薄を狙うのではなく、「この展開ならこの馬が浮上する」といった自分なりの確固たるシナリオを描けるレースを選ぶことが重要です。
券種ごとの特性を理解する!上手な人の戦略的な馬券の買い方

競馬には単勝、複勝、馬連、三連単など、様々な種類の馬券(券種)があります。
それぞれ的中難易度、配当の期待値、そして控除率(JRAの取り分)が異なります。
自分の予想スタイルやレースの特性に合わせて最適な券種を選ぶことが、的中率と回収率を向上させる上で極めて重要です。
ここでは、主要な券種のメリット・デメリットと、戦略的な活用法を解説します。
単勝と複勝:競馬の基本であり最も有利な券種
単勝は1着になる馬を、複勝は3着以内(出走頭数により2着以内)に入る馬を当てる馬券です。
この二つの券種は、全ての馬券の中で最も控除率が低く設定されており(払い戻し率80%)、構造的に最も勝ちやすい、つまりプレイヤーにとって有利な券種と言えます。
単勝は、勝ち馬を1頭だけ選ぶシンプルな馬券ですが、それゆえに予想の本質が問われます。
「この馬はオッズ以上に勝つ確率が高い」と確信が持てる馬がいる場合、他の券種に手を出すよりも単勝で勝負するのが最も効率的です。
複勝は、全券種の中で最も的中させやすいのが最大のメリットです。
まずはレースを当てる喜びを味わいたい初心者の方に最適です。
配当は低いですが、確実性の高い馬を選んで資金を少しずつ増やしていく「複勝ころがし」のような戦略も存在します。
単勝と複勝を組み合わせて購入する「応援馬券」も有効な手法です。
例えば、単勝に1000円、複勝に2000円といった形で資金を配分すれば、もし本命馬が2着や3着に敗れても複勝の的中で損失をカバーし、見事1着になれば両方の払い戻しを得ることができます。
ワイドと馬連:的中率と配当のバランスが良い中級者への登竜門
ワイドは3着以内に入る2頭の組み合わせを、馬連は1着と2着の組み合わせを順不同で当てる馬券です。
これらは、単勝・複勝よりは難易度が上がるものの、後述する三連系よりは遥かに当てやすく、的中率と配当のバランスに優れているのが特徴です。
ワイドは、選んだ2頭が両方3着以内に入れば的中となるため、保険的な意味合いで使いやすい券種です。
例えば、「軸馬は堅いが、相手が絞りきれない」という場合に、軸馬から気になる穴馬へ数点ワイドを流しておけば、高配当を拾える可能性があります。
馬連は、競馬予想の基本とも言える券種で、多くの競馬ファンに愛用されています。
「この2頭の実力が抜けている」と判断できるレースでは、馬連1点で勝負するのが非常に効果的です。
また、自信のある軸馬を1頭決め、そこから相手を数頭選んで流す「馬連流し」は、点数を抑えつつ的中を狙える基本的な戦術です。
初心者を卒業し、プラス収支を目指す段階になったら、まずはこの馬連で安定して利益を出せるようになることを目標にするのが良いでしょう。
馬単と三連複:高配当を狙うための戦略的券種
馬単は1着と2着を着順通りに、三連複は1着から3着までの3頭を順不同で当てる馬券です。
的中難易度はさらに上がりますが、その分、当たった時のリターンは大きく、人気薄の馬が絡めば万馬券も十分に期待できます。
馬単は、馬連よりも配当が高くなるのが魅力ですが、着順まで当てる必要があるため難易度は格段に上がります。
この券種が真価を発揮するのは、「1着になる馬はほぼ間違いない」と確信できるレースです。
その絶対的な軸馬を1着に固定し、2着に来そうな相手へ流すことで、堅い決着でも馬連より高い配当を得ることができます。
三連複は、中級者以上が本格的に回収率を高めるために用いる主力券種の一つです。
上位3頭を当てるのは簡単ではありませんが、三連単よりは現実的で、それでいて破壊力のある配当が魅力です。
有力馬を数頭選んで全ての組み合わせを買う「ボックス買い」や、自信のある軸馬を1頭、または2頭決めて相手に流す「フォーメーション」や「軸流し」といった買い方を駆使して、点数を管理しながら万馬券を狙います。
三連単:夢を追う最高難易度の馬券との付き合い方
三連単は、1着、2着、3着を着順通りに完璧に当てる、最も難易度の高い馬券です。
その組み合わせ総数は膨大で、18頭立てのレースでは4896通りにもなります。
的中は極めて困難ですが、当たれば数十万、数百万円といった超高額配当も夢ではなく、一撃で大きな利益を得られる可能性を秘めています。
しかし、三連単は最も控除率が高く(払い戻し率72.5%)、統計的に最もプレイヤーが損をしやすい券種でもあります。
初心者が安易に手を出すべきではありません。
購入する場合でも、やみくもに手広く買うのではなく、「1着はこの馬、2着はこの2頭のどちらか、3着は手広く」といったように、ある程度着順を決め打ちする「フォーメーション」で購入し、買い目の点数を可能な限り絞り込む工夫が不可欠です。
三連単は、あくまで資金に余裕がある時に、夢を追いかけるための「宝くじ」のような感覚で楽しむのが賢明な付き合い方と言えるでしょう。
初心者も活用できる的中率と回収率を上げる馬券購入テクニック
適切な券種を選んだら、次は「どのように馬券を組み立てるか」という具体的な購入テクニックが重要になります。
同じ予算であっても、買い目の構成を工夫するだけで、的中率と回収率は大きく向上します。
ここでは、より実践的な馬券の買い方の工夫について解説します。
ボックスと流し買いのメリット・デメリットと最適な使い分け
馬券の基本的な買い方には「ボックス」と「流し」があります。
ボックス買いは、選んだ複数の馬の組み合わせを全て購入する方法です。
例えば、5頭を選んで馬連ボックスを買うと、その5頭のうちどの2頭が1、2着に来ても的中となります。
買い漏れがないという安心感がありますが、選ぶ頭数が増えるほど買い目の点数が急激に増加し、コストがかさむというデメリットがあります。
一方、流し買いは、「この馬は絶対に馬券に絡む」という自信のある「軸馬」を1頭(または2頭)決め、その軸馬から相手となる馬(ヒモ)へ複数流す買い方です。
軸馬が来ることが前提となりますが、ボックス買いに比べて買い目の点数を大幅に絞ることができるため、少ない投資で高いリターンを狙うことができます。
レースの特性に応じて、この二つを使い分けることが重要です。
例えば、軸馬を決めるのが難しい混戦レースではボックスで広く構え、絶対的な自信を持てる軸馬がいるレースでは流し買いで点数を絞って勝負する、といった判断ができるようになれば、馬券のレベルは一段階上がります。
トリガミを防ぐ資金配分と点数管理の基本
馬券上手な人は、必ず資金配分を意識しています。
複数の組み合わせを購入する場合、全ての買い目に同じ金額を賭ける必要はありません。
的中した際に最も利益が大きくなるように、自信度に応じて賭け金の強弱をつけるのです。
例えば、本命サイドの組み合わせには厚めに賭け、押さえの穴馬券は少額にする、といった配分をすることで、的中時のリターンを最大化できます。
初心者の方がまず意識すべきは、「トリガミ」を避けることです。
トリガミとは、馬券が的中したにもかかわらず、購入金額よりも払い戻し金額が少なくなってしまい、結果的に損をすることです。
これは、買い目の点数を広げすぎた場合に起こりがちです。
馬券を購入する前に、それぞれの買い目が的中した場合の想定オッズを確認し、どの組み合わせが当たっても最低限、投資金額は回収できるように点数や金額を調整する癖をつけましょう。
闇雲に手広く買うのではなく、常にコストとリターンのバランスを考えることが、長期的なプラス収支への道です。
初心者が陥りがちな馬券の買い方
馬券の買い方を学ぶ上で、成功例だけでなく失敗例から学ぶことも非常に重要です。
ここでは、特に競馬初心者が陥りやすい、負けに繋がる典型的なNG行動とその回避策について解説します。
これらの落とし穴を避けるだけで、あなたの馬券収支は大きく改善されるはずです。
根拠のない穴狙いと安易な人気馬買いの危険性
多くの初心者が犯す過ちの一つが、一攫千金を夢見て人気薄の馬ばかりを狙うことです。
もちろん、穴馬券が的中した時の興奮は格別ですが、明確な根拠もなくただオッズが高いという理由だけで穴馬を買い続けるのは、単なるギャンブルであり、投資ではありません。
穴馬を狙うのであれば、「展開が向きそう」「このコースに適性がある」といった、その馬が激走するだけのしっかりとした理由付けが必要です。
その逆もまた然りです。
「人気だから大丈夫だろう」と、何も考えずに上位人気馬の馬券ばかりを購入するのも危険な行為です。
前述の通り、1番人気の勝率は3割程度しかなく、人気馬が飛ぶことは日常茶飯事です。
人気馬を買う場合でも、その人気が過剰ではないか、他に妙味のある馬はいないかを常に疑う視点を持ち、相手には中穴の馬を組み合わせるなどの工夫を凝らすことで、たとえ的中しても低い配当しか得られないという状況を避けることができます。
買い方の工夫を無駄にする情報収集と資金管理の過ち
他人の予想に丸乗りすることも、成長を妨げる大きな要因です。
友人や競馬評論家の意見を参考にするのは良いですが、最終的な判断を他人任せにしてしまうと、予想が外れた時に何も学ぶことができません。
様々な情報を収集しつつも、最後は自分の頭で考え、自分なりの結論を出して馬券を購入する習慣をつけましょう。
そうすることで、たとえ失敗しても、その経験が次の予想に活かされます。
そして、最も重要なのが資金管理です。
1レースごとの予算、1日あたりの上限額を決めずに、感情のままに賭けてしまうのは破滅への最短ルートです。
特に、負けが込んで熱くなり、それを取り返そうと無謀な大勝負に出てしまうのは絶対に避けなければなりません。
常に冷静に、決められた予算の範囲内で、期待値の高いレースを選んで淡々と勝負を続けること。
この鉄の意志を持つことが、長期的に競馬で勝ち続けるための最大の秘訣と言えるでしょう。
まとめ:論理的な馬券購入で競馬を賢く楽しむ
この記事では、競馬初心者から中級者の方々に向けて、馬券の上手な買い方を論理的かつ実践的な視点から解説してきました。
単に当たりそうな馬を選ぶだけでなく、オッズと期待値の概念を理解し、レース選びや券種の選択、資金配分に至るまで、全てのプロセスを戦略的に行うことが重要です。
重要なポイントは、オッズの歪みを見つけて期待値の高い馬券に投資すること、自信のあるレースに絞って勝負すること、そして各券種の特性を理解して使い分けることです。
また、ボックスや流しといった購入テクニックを駆使し、トリガミを避けながらリターンを最大化する工夫も求められます。
競馬の馬券術に必勝法は存在しませんが、今回紹介した考え方やテクニックを実践することで、「なんとなく買う」というギャンブルから、「根拠を持って買う」という知的なゲームへと、競馬との向き合い方が変わるはずです。
地道な分析とブレない資金管理を心掛け、賢い馬券購入で競馬をさらに深く楽しんでください。
